【デザイナー歴5年が教える】演奏会チラシ作り方ガイド

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伴 結生

神戸女学院大学音楽学部を卒業。 学生時代から数社での長期インターンシップやエンジニア・デザイナーとしてフリーランスで働く。大学卒業後はITベンチャー企業にエンジニアとして入社。 現在は演奏活動とエンジニア兼 経営者として、活躍中。音大生・音楽家向けのプログラミングスクール「TECH PRESTO」のメンターを務める。

演奏会を開催することになったけれど、チラシはどうやって作れば良いの?」――そんなお悩みをお持ちの方へ。

本記事では、音大出身のデザイン歴5年、現在会社を経営する私が、初めてチラシ制作に挑む方に向けた実践的なノウハウをお届けします。

目的設定からレイアウト、フォント選び、印刷発注まで、初心者がつまずきがちなポイントを丁寧に解説。

自分たちの演奏会を、印象的なビジュアルで効果的に告知するコツを知って、集客につなげてみましょう。

なぜ演奏会チラシが重要なのか

伴 結生が作成した演奏会チラシ

演奏会を開催する際、チラシは潜在的な来場者にイベントの魅力をダイレクトに伝えるメディアです。

SNSやWeb告知も重要ですが、紙媒体のチラシは手に取った瞬間に情報が一目瞭然で伝わる即効性が魅力。

また、印象的なビジュアルでブランド感を演出できれば、「この演奏会は質が高そうだ」「行ってみたい」といったポジティブな印象を与えることが可能です。

音楽に関心がある人だけでなく、たまたまチラシを手にした人の興味を引き、「足を運んでみようかな」という気持ちにさせる力があるのがチラシの強み。

また、企業やホール、楽器店などに配布・設置することで、多くの潜在顧客に目が届きやすい点も見逃せません。

知り合いのコンサートに挟み込みさせてもらっている方が多いです。

チラシ制作前に準備すべき3つのこと

ターゲットと目的の明確化

まずは「誰に向けて、どんな目的で演奏会を告知するのか」をはっきりさせましょう。

クラシック音楽ファン向けなのか、地域住民に気軽に来てほしいのか、学生向けなのか。

それによってデザインのテイストや情報の強調点が異なります。

ターゲットを明確にすることで、デザインの方向性やコンテンツが自然と定まっていきます。

この工程が一番大事です!

掲載情報の整理

チラシには、演奏会の日時、会場、出演者、プログラム、料金、予約方法などの基本情報が欠かせません。

これらの情報を事前に整理し、何を最も強調したいかを決めておくと、デザイン作業がスムーズになります。

また、マップや連絡先、webサイトのURLやQRコードなど、補足情報も事前に用意しておくとよいでしょう。

演奏会チラシに必要な掲載情報

以下に必要な情報を書き出しました。ご参考になれば幸いです。

  • チラシタイトル
  • キャッチコピー
  • 公演日
  • 開演時間
  • 開場時間
  • 曲目
  • 会場名
  • チケット料金
  • お問い合わせ先
  • チケット取扱(メールアドレス、QRコード、URLなど)
  • 出演者画像
  • プロフィール文章(掲載しない場合は不要)
  • 主催・ご協賛など
  • マップ画像

予算とスケジュール管理

印刷費やデザイン費を含めた予算をあらかじめ確保し、制作から納品までのスケジュールを立てておきます。

印刷所の納期や校正時間も考慮し、余裕を持った計画を立てることが、トラブル回避につながります。

特に初心者の方はデザインに時間がかかってしまうことも考慮し、早めに準備しておきましょう。

スケジュール例

デザイン開始
↓(5日間)
初稿完成&関係者確認
↓(2〜5日)
デザイン修正
↓(2〜5日)
最終交換性&関係者最終確認
↓
印刷依頼
↓(7日後)
完成🎉

このスケジュールはあくまで目安で、印刷所の納期や制作会社の規模によって前後します。余裕を持った計画を立てることが大切です。

費用目安

以下の表に、自分で作る場合と制作会社に依頼する場合の費用目安を比較しました。

項目自分で作る場合制作会社に依頼する場合
デザインソフト使用費用月額2,000~7,000円程度(Adobe Creative Cloudなど)-
素材購入費(写真・イラスト)数千円以内(フリー素材やサブスクサービス利用で抑えやすい)-
デザイン費-2~5万円程度(簡易的なデザインであれば2万円程度から、凝ったデザインや何度もリテイクする場合は5万円以上も)
印刷費A4サイズ、フルカラー片面、1,000部程度で約5,000~15,000円が目安(用紙や印刷方法により変動)1,000部で5,000~15,000円程度(印刷所や紙質による)
合計費用1~2万円前後3~6万円程度

予算やスケジュールは、チラシが演奏会の印象を左右する重要な要素。必要最小限のコストで済ませるのか、多少費用をかけてでもプロの力を借りるのか、自分たちの状況や求める完成度に合わせて検討しましょう。

デザインの基本ステップ

伴 結生が作成した演奏会チラシ

レイアウトの考え方:視線誘導を意識

チラシの役目は、閲覧者に情報を素早く理解させること。

そのために重要なのが「視線誘導」。人の目は一般的に上から下へ、左から右へ流れます。

この動きに沿って、タイトルや演奏会名は上部に大きく、その下に日にち、場所など重要事項を配置するなど、順序立てた情報配置を行いましょう。

カラー選びのコツ

伴 結生が作成した演奏会チラシ

チラシのカラーはイベントのイメージに合わせて選ぶと良いです。

例えばクラシックコンサートなら落ち着いた深い色合い、女性向けの華やかなイベントならパステルカラーやピンク系など、色がもたらす雰囲気を考えましょう。

多色使いすぎるとごちゃつくので、メインカラー1~2色+サブカラー2~3色程度が目安です。

フォントと文字組み

可読性が何より重要なポイントです。

まず、チラシを手にした人が、短時間で必要な情報を読み取れるようにすることを最優先に考えましょう。

そのうえで、フォント選びや文字組みの工夫によって、演奏会の雰囲気やブランドイメージを醸し出すことが可能です。

以下は「主なフォントの種類と印象」を表形式でまとめた例です。

フォント種類印象・特徴使用例・留意点
明朝体 (Serif)上品でクラシカルな印象。線の対比が美しく、落ち着いた雰囲気を演出。クラシックコンサートや伝統的な演奏会に適する。長文の場合は可読性を確保するため行間や余白に注意。
ゴシック体 (Sans Serif)シンプルで読みやすく、モダンな印象。線幅が均一で視認性が高い。幅広いジャンルで活用可能。日時・会場など重要情報を明瞭に伝えるのに最適。
手書き風・筆記体 (Script, Calligraphic)柔らかで優雅なラインがロマンティックで芸術的な雰囲気を醸し出す。タイトルや見出しなど短い文字列に使用。可読性が劣る場合があるため、本文利用は避ける。
デザインフォント (Decorative)個性的で強いインパクトを与え、カジュアルやポップな雰囲気を演出。ジャズやポップス系の演奏会など、エネルギッシュな印象を与えたい場合に有効。多用せず1カ所程度のアクセントにとどめる。

写真・イラスト素材の扱い方

伴 結生が作成した演奏会チラシ

プロの演奏者がいるなら、その写真を大きく掲載するのも手。

ホールやオーケストラのカットも雰囲気づくりに有効です。

ただし、解像度の低い画像は避けましょう。印刷では画質が粗くなり、チラシ全体の印象を損ねます。

著作権フリーの素材サイトや有料素材サイトを活用し、テーマに沿ったイラストやパターン素材を活用するのもよいアイデアです。

例えば音符柄を背景に薄く敷き、視覚的な楽しさをプラスすることで、演奏会への期待感を高められます。

デザインツール・ソフトの紹介

グラフィックソフトと言えばAdobe IllustratorやPhotoshopが定番ですが、有料ソフトが難しい場合はCanvaなどのオンラインツールを使うと良いです。

Canvaには豊富なテンプレートがあり、文字や画像を入れ替えるだけでそれなりのクオリティを確保できます。

どのツールを使う場合も、印刷向けに最終的には「CMYKカラー」「適正解像度(300dpi程度)」「トンボと塗り足し」を確保したPDF形式など、印刷所が要求する入稿形式に合わせましょう。

テンプレートは他の演奏会のチラシとデザインが被ってしまう可能性があります。

作ったものに一手間加えてオリジナリティを持たせると良いでしょう。

印刷と仕上げに関する基礎知識

印刷所を選ぶ際は、オンラインの格安印刷サービスや地域の印刷会社、オフセット印刷やオンデマンド印刷など、目的や予算に合わせて比較検討します。

高級感を出したいなら厚手のマット紙やアート紙、コストを抑えたいなら普通のコート紙など、紙質で仕上がりが大きく変わります。

また、光沢の有無、PP加工(表面保護フィルム加工)などのオプションも検討し、最適な仕上げを選びましょう。

プリントパックラクスルは格安で印刷ができますよ

実際の制作フロー例

ここで、具体的な流れの一例を挙げます。

  1. 情報整理:演奏会タイトル、日時、会場、出演者、プログラム、料金、問合せ先を一覧化
  2. 方向性決定:クラシカルな雰囲気?ポップでフレンドリー?ターゲット層と合うビジュアルイメージをすり合わせ
  3. ラフスケッチ:紙に簡単なレイアウト案を描き、要素の配置イメージを固める
  4. デザイン制作:PCツールで本制作。タイトル→画像→本文情報の順で配置し、全体のバランスを調整
  5. 校正と微調整:誤字脱字チェック、色味やフォントサイズの最終調整。第三者に見てもらうとミス発見率UP
  6. 入稿と印刷発注:印刷用データをPDF形式(CMYK、塗り足し、トンボあり)で書き出し、印刷所へ発注
  7. 納品・配布計画:納品日から逆算し、いつ誰がどこにチラシを配るかを明確に

このフローを参考にすれば、初めてでも段取り良く作業を進められます。

よくある失敗例と対策

  • 情報不足による混乱
    日時や場所が分かりづらい、問い合わせ先がないなど情報面の不備があると、見た人が行動しづらくなります。必須情報リストを作って抜け漏れ防止しましょう。
  • デザイン過多でごちゃごちゃに
    欲張って情報や装飾を詰め込みすぎると、視認性が落ちます。必要最低限の情報を厳選し、余白を有効活用することで見やすさと上質感が生まれます。
  • 早めの校正不足による誤植
    校正は最低でも2回、できれば第三者にもチェックしてもらいましょう。1文字の誤記が当日トラブルや混乱を招くこともあります。

まとめ 演奏会チラシ作り方ガイド

初めてのチラシ制作は不安がつきものですが、ターゲット設定や情報整理、基本的なデザイン原則を押さえておけば、大きな失敗は防げます。

視線誘導やカラー選び、フォント選びといった基礎を踏まえ、画像やイラストを活用しながら、質の高いビジュアルへと近づけましょう。

デザインツールや印刷所選びのコツも理解すれば、ハードルはさらに下がります。

丁寧な校正とスケジュール管理で、初めてでもストレスを最小限にした制作が可能です。

こうして完成したチラシは、演奏会を華やかに告知し、多くの人を集客する有力なツールになります。

ぜひ本記事のポイントを参考に、自分たちの音楽会を彩るチラシを作り上げてください。

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伴 結生

神戸女学院大学音楽学部を卒業。 学生時代から数社での長期インターンシップやエンジニア・デザイナーとしてフリーランスで働く。大学卒業後はITベンチャー企業にエンジニアとして入社。 現在は演奏活動とエンジニア兼 経営者として、活躍中。音大生・音楽家向けのプログラミングスクール「TECH PRESTO」のメンターを務める。

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