「バイオリンを始めたいけど、どんな先生に習えばいいんだろう?」
「今の先生で本当に上達できるのか、ちょっと不安…」
「子供にぴったりのバイオリンの先生って、どうやって見つけるの?」
これからバイオリンを始めようと考えている方は、選択肢が多すぎて迷ってしまったり、何を基準に選べば良いのか分からなかったりすることも多いのではないでしょうか。
この記事では、そんな悩みを解決するために、現役音大生(バイオリン専攻)が、バイオリンの先生選びで後悔しないための具体的なステップと、良い先生を見極めるための実践的なポイントを徹底解説します。
なぜバイオリンの先生選びがそんなに大切なの?

バイオリンという楽器は、正しい奏法を基礎から丁寧に積み重ねていくことが非常に重要な楽器です。
最初の段階で間違った癖がついてしまうと、後々修正するのに多くの時間と労力を要することになりかねません。
だからこそ、あなたを正しく導いてくれる先生の存在が不可欠なのです。
良い先生との出会いは、単に技術を教えてもらう以上の価値をもたらします。
- 上達のスピードと質が格段に向上する: あなたの課題を的確に見抜き、最適な練習方法を提示してくれるため、効率的に上達できます。
- 音楽の楽しさ、奥深さを教えてくれる: 技術指導だけでなく、音楽の背景や表現の楽しさを伝えてくれる先生は、あなたの音楽への情熱を育んでくれます。
- モチベーションを維持し、長く続けられる: 適切な励ましや目標設定は、練習のモチベーションを保ち、バイオリンを長く楽しむための大きな支えとなります。
- 精神的な支えとなることも: 時にはスランプに陥ったり、自信をなくしたりすることもあるでしょう。そんな時、信頼できる先生は良き相談相手となり、あなたを励ましてくれます。
逆に、もし自分に合わない先生を選んでしまうと、上達が遅れるだけでなく、バイオリンを弾くこと自体が苦痛になってしまう可能性すらあります。

先生探しの「軸」を決める

理想の先生と出会うための第一歩は、「自分自身が何を求めているのか」を明確にすることです。
これが曖昧なままでは、どんな先生が良いのか判断基準が持てません。まずは以下の点をじっくり考えてみましょう。
あなたの目標は?
以下は例ですが、目標例になります。
目的例 | 詳細 |
---|---|
趣味として楽しみたい | ・好きな曲を弾けるようになりたい (J-POP、映画音楽、クラシックの名曲など具体的に) ・日々の癒やし、ストレス解消として ・アンサンブルやオーケストラに参加して仲間と音楽を楽しみたい |
本格的に技術を向上させたい | ・コンクールに挑戦したい ・音大や専門の道を目指したい |
子供の教育として | ・音楽を通じて豊かな感性を育んでほしい ・集中力や継続する力を養いたい ・何よりも音楽を好きになってほしい ・将来、専門の道に進む可能性も視野に入れたい |
目標によって、先生に求める指導内容や専門性も変わってきます。
例えば、趣味で楽しく弾きたいのに、非常に厳しくプロ志向の先生ではミスマッチが生じる可能性があります。
どんなレッスンを求めている?
レッスンの雰囲気 | ・とにかく楽しく、褒めて伸ばしてほしい ・厳しくても良いので、確実に上達させてほしい ・落ち着いた雰囲気で、じっくりと教えてほしい |
指導内容 | ・基礎を徹底的に固めたい ・理論(楽典や音楽史)も合わせて学びたい ・表現力を豊かにするための指導を受けたい ・自分のペースに合わせて柔軟に進めてほしい |
先生の指導スタイルや人柄は、レッスンの満足度に直結します。
自分がどんな環境で最も学びやすいかを考えてみましょう。
譲れない条件と妥協できる条件を整理しよう
- 予算: 月謝の上限はいくらか?教材費や発表会費なども考慮に入れる。
- 場所: 自宅からの距離、通いやすさ。オンラインの場合はその環境。
- 時間: レッスンを受けられる曜日や時間帯。レッスンの時間(30分、45分、60分など)。
- 練習時間: 毎日どれくらい練習時間を確保できるか。
- その他: 振替レッスンの有無、発表会の頻度や規模、先生の性別など。
これらの条件をリストアップし、優先順位をつけることで、先生探しの際の絞り込みがしやすくなります。
全てを満たす完璧な先生を見つけるのは難しいかもしれませんが、「これだけは譲れない」という軸をしっかり持つことが大切です。
どこで探す?バイオリンの先生探しの情報源と特徴

自分の求めるものが明確になったら、いよいよ先生探しです。主な探し方とそれぞれの特徴を理解しておきましょう。
大手音楽教室
メリット
- 全国展開している場合が多く、駅近など立地が良いことが多い。
- 受付スタッフが常駐し、システムがしっかりしている。
- 体験レッスンが気軽に受けやすい。
- グループレッスンや子供向けのコースも充実。
デメリット
- 講師が頻繁に変わることがある。
- カリキュラムがある程度決まっており、自由度が低い場合がある。
- 個人レッスンでも、運営費などが含まれるためレッスン料がやや割高になる傾向。

体験レッスンで実際に教えてくれる講師と、入会後に担当する講師が同じかどうかも確認が必要です。
おすすめの大手の音楽教室一覧
音楽教室名 おすすめポイント
椿音楽教室 ・全国200箇所以上のスタジオ
・名門音楽大学出身者も多数在籍
・体験レッスン無料(60分)
・24の楽器のマンツーマンレッスン
EYS音楽教室 ・入会時に、楽器+ケースを無料プレゼント
・気に入らないレッスンは無料で補講
・レッスンスタイルや口コミから相性の良い講師を検索できる
・当日欠席も振替できる。シアーミュージック ・マンツーマンレッスンのみ
・曜日・時間の固定がなく、好きな日時に習いに行ける
・都合に合わせて校舎を選べる
(全国の100校舎でレッスンの受講が可能)
・空いているレッスン室は無料でレンタルできる
個人の音楽教室・個人の先生
メリット
- 先生と直接コミュニケーションを取りやすく、アットホームな雰囲気で学べる場合が多い。
- レッスン内容や進度を柔軟に対応してくれることが多い。
- 先生の専門性が高い場合、質の高い指導を受けられる可能性。
- 紹介の場合、信頼できる先生に出会える確率が高い。
デメリット
- 良い先生を見つけるのが難しい場合がある。
- 先生個人の都合でレッスンが休みになったり、規約があいまいだったりするケースも。
- ウェブサイトだけでは情報が限られることも。
- 先生を変更しづらい

どの探し方がベストということはありません。それぞれのメリット・デメリットを理解した上で、自分に合った方法で探してみましょう。
良い先生を見極める!プロフィールと口コミのチェックポイント

いくつかの候補が見つかったら、先生の情報をさらに詳しく調べていきましょう。
先生のプロフィール確認項目
確認項目 | 詳細 |
---|---|
学歴・師事歴 | どこの音楽大学・大学院を卒業しているか、どのような先生に師事してきたか。 国内外での留学経験なども参考になります。特に専門的に学びたい場合は重要な指標です。 |
演奏歴 | プロのオーケストラでの演奏経験、ソロリサイタルや室内楽の活動歴、コンクール受賞歴など。 現役で演奏活動をしている先生は、常に新しい情報や感覚を持って指導してくれることが多いです。 |
指導歴 | 指導年数、これまでに教えてきた生徒の年齢層やレベル、指導実績(コンクール入賞者や音大合格者を輩出しているかなど)。 子供向けの指導経験が豊富かどうかも、お子さんの先生を探す際には重要です。 |
専門分野・ 得意なジャンル |
クラシック音楽の中でもバロック、古典派、ロマン派など得意な時代があるか。 ジャズやポピュラー音楽の指導も可能か。自分の学びたい方向性と合っているか確認しましょう。 |
指導方針・教育理念 | 先生がどのような考えを持って指導にあたっているか。 ウェブサイトやブログなどで発信している先生もいます。 |
ここで注意したいのは、リサイタルなどで演奏活動が豊富で実力があっても、必ずしも指導が上手いとは限らないという点です。
演奏動画や音源(可能であればチェック)
先生自身の演奏を聴くことは、その先生の音楽性や技術レベルを知る上で非常に参考になります。
YouTubeなどで公開している先生もいます。技術的な正確さだけでなく、音楽の表現力や、楽しそうに演奏しているかなども見てみましょう。
口コミ・評判の賢い集め方と注意点
- インターネット上の口コミサイトは参考になりますが、あくまで個人の感想です。肯定的な意見も否定的な意見も、鵜呑みにせず多角的に情報を集めましょう。
- 可能であれば、実際にその先生に習っている(または習っていた)人の話を聞くのが最も信頼できます。
- 他の音楽教室の先生や、楽器店の店員さんなど、音楽業界の人からの評判も参考になることがあります。
- ネガティブな口コミがあった場合、その内容が自分にとって許容できる範囲か、具体的な事実に基づいているのかを冷静に判断しましょう。
プロフィールや口コミはあくまで参考情報です。
最終的には、次のステップである「体験レッスン」で実際に先生に会い、自分で感じることが最も重要です。
体験レッスンを活用する
気になる先生が見つかったら、いよいよ体験レッスンです。
体験レッスンは、先生との相性や指導の質を直接確認できる貴重な機会。。
遠慮せずに、積極的に活用しましょう。
体験レッスンを複数受けるメリット
可能であれば、複数の先生の体験レッスンを受けることをおすすめします。
なぜなら、比較対象があることで、それぞれの先生の良い点や、自分に合う・合わない点がより明確になるからです。
「最初の先生が良かったから」とすぐに決めてしまうのではなく、いくつか選択肢を持つことで、より納得のいく先生選びができます。
体験レッスン中に見るべき5つのポイント

体験レッスンでは、以下の5つのポイントを意識して観察・体感してみましょう。
指導の分かりやすさと的確さ
- あなたの演奏の良い点、改善すべき点を具体的に指摘してくれるか?
- 専門用語ばかりでなく、あなたに理解できる言葉で説明してくれるか?
- なぜそうするのか、理由や根拠も説明してくれるか?
- 姿勢や弓の持ち方など、基本的なことでも丁寧に見てくれるか?
- あなたのレベルに合った課題やアドバイスをくれるか?
- (子供の場合)子供の目線に立ち、興味を引き出すような言葉かけや工夫があるか?
コミュニケーションの取りやすさ
- あなたの質問や疑問に対して、真摯に答えてくれるか?
- あなたの目標や要望を丁寧に聞いてくれるか?
- 一方的な指導ではなく、あなたの意見も尊重してくれるか?
- レッスン中に萎縮してしまうような威圧感はないか?
- 話しやすい雰囲気を作ってくれているか?
先生の人柄と音楽への情熱
- 音楽が好きで、教えることに喜びを感じているように見えるか?
- 生徒に対して温かい眼差しや励ましがあるか?
- 言葉遣いや態度は丁寧か?
- 時間にルーズではないか、レッスンに集中しているか?
- あなた自身が「この先生から学びたい」と心から思えるか?
レッスンの雰囲気(子供の場合は特に重要)
- レッスン室は清潔で、集中できる環境か?
- レッスン全体の雰囲気は明るく、前向きか?
- (子供の場合)子供がリラックスして、楽しそうにしているか?飽きさせない工夫があるか?
- 緊張感はあっても、息苦しさはないか?
基礎練習と曲のバランス
- 基礎練習(スケール、エチュードなど)の重要性を理解し、適切に取り入れているか?
- あなたの希望する曲や、レベルに合った曲をバランス良く選んでくれそうか?
- 単に曲を弾くだけでなく、音楽的な表現についても指導があるか?
これらのポイントをメモしておき、レッスン後に振り返ると良いでしょう。
こんな先生には要注意?

ここでは、少し注意が必要かもしれない先生の例と、万が一先生を変えたいと思った場合の対処法について触れておきます。
- 時間にルーズな先生: レッスンの開始や終了時間を守らない、頻繁に遅刻する。
- 生徒の悪口や他の先生の批判をする先生: プロ意識に欠け、教室の雰囲気も悪くなりがちです。
- 高圧的・威圧的な態度の先生: 生徒が萎縮してしまい、質問や意見が言いにくくなります。
- 自分の演奏や自慢話が多い先生: レッスン時間が削られ、生徒中心の指導になっていない可能性があります。
- 生徒の進捗や課題を把握していない先生: 前回のレッスンの内容を覚えていない、場当たり的な指導になっている。
- 具体的な改善策を示してくれない先生: 「もっと歌って」「もっと表現して」といった抽象的な指示ばかりで、どうすれば良いのか分からない。
- 連絡が取りにくい、返信が極端に遅い先生: 緊急時の対応などに不安が残ります。
- 過度な教材販売やイベント参加を強要する先生: 生徒の意思を尊重しない姿勢が見られます。
もちろん、これらはあくまで一例であり、個々の状況によって判断は異なります。
しかし、もしレッスン中に不快な思いをしたり、不信感を抱いたりすることが続くようであれば、勇気を出して環境を変えることも考えるべきです。
まとめ
素晴らしい先生との出会いは、バイオリンの技術を高めるだけでなく、音楽の喜びや感動を何倍にも深めてくれます。
そして時には、人生の師ともいえるような、かけがえのない存在になることもあります。
この記事が、バイオリンを始める際の参考になれば幸いです。
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