2025年8月25日、ウィーンからザルツブルクへ少し寄り道し、ザルツブルク音楽祭を鑑賞しました!
会場はモーツァルテウム音楽院大ホール。
出演は、現代を代表する革新的なヴァイオリニストの一人 パトリツィア・コパチンスカヤ と、フィンランドの鬼才ピアニスト ヨーナス・アホネン。
二人によるデュオ・リサイタルを体験しました。
チケットは35€と手頃で、(もう少し早めに予約していればさらに安く入手できたのですが…)とても満足度の高いリサイタルとなりました。
今回はその感想に加え、音楽祭への参加方法やチケット購入のコツなどをご紹介していきます。
会場へのアクセスと雰囲気
モーツァルテウム音楽院大ホールへの道のり

ザルツブルク中央駅から徒歩約20分、旧市街からは15分。
夕暮れ時のザルツブルクを歩きながら会場へ向かう道のりは、それ自体が音楽祭体験の一部です。
- 住所:Schwarzstraße 26, 5020 Salzburg
- 最寄りバス停:Mirabellplatz(3, 5, 6番線)
- タクシー料金:中央駅から約10ユーロ

近くにあるミラベル庭園はとても素敵で、コンサート前にベンチでひと休みしてから会場へ向かいました。
Category 4席の実際

「安い席カテゴリー」と聞くと、見えにくい席を想像するかもしれません。
しかし、モーツァルテウム大ホールは約800席の中規模ホール。
Category 4でも音響的には十分に楽しめ、演奏者の表情こそ見えにくいものの、音楽の本質を味わうには全く問題ありませんでした。
むしろ、周りには地元の音楽愛好家や学生が多く、飾らない雰囲気で音楽に集中できる環境でした。
ドレスコードはある?
ドレスコードの指定は特にありませんでしたが、会場ではヨーロッパの方々がドレスやスーツなど華やかな装いをしている姿が多く見られました。
短パンやサンダルといったラフすぎる服装は避け、少しきれいめの格好をしておくと安心です。
私はジャケットなしでシャツスタイルで参加しましたが、全く問題ありませんでした。
ドリンクや軽食も楽しめる

会場内には、コンサート前や休憩中にコーヒー・ジュース・アルコールなどのドリンクや軽食を楽しめるスペースもありました。
多くの方がドリンク片手に談笑しながら、くつろいだ時間を過ごしている様子でした。
演奏会の内容 - 期待を超える体験
プログラム構成
シェーンベルク、サティ、ベートーヴェン、アンタイルという一見脈絡のない作曲家の作品が並んだプログラム。
演奏曲目
Arnold Schönberg (1874-1951) アルノルト・シェーンベルク
- Phantasy for Violin with Piano Accompaniment, Op. 47 (1949) ヴァイオリンとピアノのための幻想曲 作品47
Erik Satie (1866-1925) エリック・サティ
- Choses vues à droite et à gauche (sans lunettes) (1914) 眼鏡なしに見た右と左のもの(めがねなしで右に左に見えるもの)
Ludwig van Beethoven (1770-1827) ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン
- Violin Sonata No. 8 in G major, Op. 30, No. 3 (1802) ヴァイオリン・ソナタ第8番 ト長調 作品30-3
- Violin Sonata No. 4 in A minor, Op. 23 (1801) ヴァイオリン・ソナタ第4番 イ短調 作品23
George Antheil (1900-1959) ジョージ・アンタイル
- Violin Sonata No. 1 (1923) ヴァイオリン・ソナタ第1番
(アンコール) Patricia Kopatchinskaja (1977-) パトリツィア・コパチンスカヤ
- Mind Your Step マインド・ユア・ステップ
コパチンスカヤの圧倒的な存在感

「深み、輝き、ユーモアの組み合わせで、比類なき演劇性を演奏にもたらす」と評されるコパチンスカヤ。
特に印象的だった3つのポイント
- 身体全体で音楽を表現
- 裸足で登場(これが彼女のトレードマーク)
- 時に踊るような、時に彫刻のような動き
- 音楽と完全に一体化した身体表現
- 革新的な解釈
- ベートーヴェンでさえ現代音楽のように新鮮に響く
- 楽譜に忠実でありながら、全く新しい音楽体験
- 観客との対話
- 曲間でのちょっとしたジェスチャー
- 音楽を通じた感情の共有
ジェスチャーで笑いが起きる場面もあり、とても楽しいコンサートでした。

アホネンの知的なピアニズム
18世紀後期の音楽から現代音楽の世界初演まで幅広くカバーするフィンランド人ピアニスト、ヨーナス・アホネン。
コパチンスカヤの激情的な演奏を、時に支え、時に挑発する彼のピアノは、まさに理想的なパートナーシップでした。
音楽祭ならではの特別な体験
国際的な聴衆との一体感

客席を見渡すと、さまざまな言語が飛び交い、観客の年齢層も幅広いのが印象的です。
しかし、ひとたび音楽が始まると、誰もが真剣に耳を傾け、会場全体がひとつになります。
幅広い価格設定のおかげで、地元の人々も気軽に世界的アーティストの演奏を楽しめるのです。
終演後の余韻
21時頃に終演。
外に出ると、まだ薄明るいザルツブルクの夏の夜。観客たちは三々五々、近くのカフェやレストランへ向かいます。
おすすめの終演後スポット
- Café Sacher Salzburg(22時まで営業)
- Augustiner Bräu(地元のビアホール、23時まで)
- M32(メンヒスベルクの展望レストラン、予約推奨)
私はウィーンからの移動で少し疲れていたので、この日はすぐにホテルに戻りました。
ザルツブルク音楽祭 チケット買い方のコツ
公式サイトでの購入が基本

ツアーなどに申し込むのは高額なので、公式サイト(Salzburg Festival)から直接購入するのが一番お得です。
チケットは「Category(席種)」によって価格が異なるため、早めの購入をおすすめします。
- 毎年12月に翌年のプログラム発表
- 1月から一般販売開始
- Category 4-5は比較的取りやすい
現地での当日券
私自身も4〜5年前にザルツブルク音楽祭で、アウグスティン・ハーデリヒのコンチェルトを鑑賞した際、当日券を購入できた経験があります。
そのため、公式サイトでチケットが見つからない場合でも、現地の窓口で一度確認してみることをおすすめします。
トータル予算(1日あたり)
- チケット:20ユーロ〜(コンサートごとに異なる)
- 食事:20-30ユーロ(軽食なら5ユーロ〜)
- 交通:5ユーロ〜(市内移動)
- プログラム:5ユーロ(記念に)
- 合計:約65-75ユーロ
日本ではプログラムは無料で配布されることが一般的ですが、現地では有料の場合が多く、費用がかかります。
軽食をとる際は、スーパーでサンドイッチを購入したり、屋台でケバブやホットドッグを試してみるのがおすすめです。
まとめ
ザルツブルクでコパチンスカヤとアホネンの演奏を聴きながら、音楽の力を改めて実感しました。
言葉や文化の違いを超えて、人々が一つになる瞬間。それこそが、音楽祭の真の価値なのかもしれません。